伊勢ヶ濱親方について

恋人を愛する気持ちというものは義理という鎖だけで保たれているのだ。

それに加えて人間の生まれついての性格は悪そのものなので、そんなか細い鎖は自分の勝手で迷わずたち切れるものなのだ。

その吐息に触れるすべてを気高いものに変えてしまう、恐ろしい愛の魔法だ。

なんだか、ふしぎな光で濁った黒い雨雲であっても美しいものにする太陽のような力である。

恋をしていると、とても身近に、けれどいくら願い続けても叶うことがないとてつもなく大きな幸福があるように思う。

更にその幸せは、ただひとつの言葉、ひとつの笑顔にのみ影響がもたらされる。

多くの場合恋愛は、人が異性に対してもつとてもロマンチックで親しい間柄を欲する気持ちで、その上、その特別な感情に基づいた一連の恋しいと思う気持ちに満ちた表情やしぐさを伴う。

ギブアンドテイクの関係の二人は長期間継続すると予想することができる。

実は人間は「私一人が心理的に言えば報酬を得ている状態を苦手」とすることがふつうである。

違う言葉を使うならば、「\xA1
恩を与えられたら同じようなものを返したくなる心理」が働くということである。



あおこれさえ覚えとけば